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#4 涌井征男 | タイストリート

#4 涌井征男 | タイのポータルサイト タイストリート
 株式会社スパイスロード代表

#4 涌井征男

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深みある圧倒的な存在感。
全てを包み込むような優しい物腰。

小さなコーヒー店から始まり、トムヤムラーメンで有名な「ティーヌン」など、日本を代表するエスニックレストラン運営企業「株式会社スパイスロード」を生み出した、言わずと知れたまさに日本におけるタイ業界の重鎮。

今でこそスタンダードになったトムヤムラーメンを世界で初めて開発し、世に送り出した男。
タイという国と共に歩んできたその人生と、今後の展望に迫る。

涌井征男
最初はまったく美味しいと思わなかった

タイストリート(以下タイスト):まずはじめに、スパイスロードさんと言えば、いまや日本を代表するエスニックレストランの運営企業だと思うのですが、設立までには様々なドラマがあったと伺っております。

涌井征男氏(以下敬称略):実は自分の原点はインドカレーにありました。高田馬場に出てきて、そこで「東洋食堂」というお店を作ってインドカレーを中心に運営していました。
その時アルバイトに来てくれていた、今のスパイスロードのタイ料理の先生、今ではだいぶ有名になりましたが「味澤ペンシー」、彼女からタイ料理の手ほどきを受けました。食べてみろって、賄いで作ってもらって・・・でも正直その時は全く美味しいとは思わなかったです。パクチーも、トムヤムクンも、なにもかも。グリーンカレーも気持ち悪くて(一同大笑)。
というのも、あの頃はココナッツミルクというものに慣れてなかったし、甘いってことが非常にびっくりしてね、(慣れ親しんだ)ドロッとしたカレーでもないし、スープ状だったのにも慣れなかったし、正直ショックのが大きかったですね。
ナンプラーだって臭いだけで、パクチーもこんなものよく食べるなあと思いましたよ(笑)。

タイスト:なるほど(笑)。でも確かに、時代的にもエスニック料理というのがまだ浸透していなかった頃なんですね。

涌井:そうですね。タイ料理のお店も少なかったです。で、最初は美味しくは感じなかったけど、色々通って食べてみて、そのうちにハマってきた感じでした。当時、全ての料理がだいたい1500円~2000円くらいして、何でこんなに高いんだろうと、それに対する反発もあってちょっと勉強し出したら、価格を下げてできるじゃないかと思い、それが今でもずっと続いて、最終的にトムヤムラーメンを開発したということに繋がるんです。

TINUN
【TINUN ティーヌン】
このマークを見ればピンときます。元気なタイ屋台料理とトムヤムラーメンの店「TINUN」
http://tinun.jp/
元祖トムヤムラーメンの誕生

タイスト:まさにそのトムヤムラーメンのお話を伺いたいと思っていたのですが、ティーヌンさんといえばやはりトムヤムラーメンが代名詞です。僕も生まれて初めて食べたトムヤムラーメンはティーヌンさんだったのですが、そんなトムヤムラーメンの誕生について教えていただけますでしょうか。

湧井:確かにトムヤムラーメンを日本で初めて開発、販売したのはウチですし、そもそもタイにもこういったメニューはなかったですからね。そういう意味では、世界で初めてああいう形でトムヤムラーメンという料理を存在させたという事ですね。今はまぁどこにでもある味になってしまいました(笑)。逆にバンコクでもあるような時代ですから。本当に面白いなぁと思います。

タイスト:これは、どのように思いついたんでしょうか。

湧井:トムヤムクンスープを作って飲んでて、なんかこう、中に入れてできないもんかなぁと思って、お餅をいれたり、うどんを入れたり、ご飯を入れたりして、そのうち、これラーメンできないかな、と思いついたんです。
ただ、まだそのまま入れただけでは商品としては全くダメで。トムヤムクンも誰でもできますし、そこにラーメンを入れて商品化するのも誰だってできてしまう。これではダメなんです。オリジナルでないと。そこで独自のトムヤムペーストを開発しました。そして、このトムヤムラーメンの誕生が、ティーヌン誕生のきっかけにもなった、ということなんです。

タイスト:実はつい先日、涌井社長にインタビューすることもあって久しぶりに渋谷のティーヌンさんでトムヤムラーメンを食べてきました。やはり変わらず美味しかったです。

湧井:ありがとうございます。そうですね、このラーメンは今もかなり多くのファンがいますし、この間もfacebookを開いていたらトムヤムラーメンのファンという方からメッセージをいただく機会がありましたよ。

タイスト:facebookやられてるんですか!?ぜひ今度友達申請しますのでお友達になってください(笑)。

涌井:ぜひ(笑)。facebookで凄いなぁと思うのは「えぇー?」と思う人から連絡が来たりするんですよね。僕は西荻窪に小さなコーヒー屋を始めたことがあるのですが、(氏が営んでいた喫茶店「OAK」)17年ほどやってたかな、これが僕の原点なのですが、ついこの間ね、その時に来てくれていた、まだあんなちっちゃかった子がfacebookでメッセージをくれて、「あの時のマスターですか?」って。本当にビックリして、一週間ほど前かな、会って食事をしてきました。もう20数年振りになるんですが、本当に嬉しい体験でしたね。

涌井征男
【トムヤムラーメン】
今や当たり前になったこの味。タイには無かったが、今やバンコクでも大人気。
「本当に面白いなあと思います(涌井氏)」
TINUN 夏のおすすめ冷麺
【夏のおすすめ冷麺】 [クリックで拡大]
(TINUNラゾーナ川崎プラザ店)
毎年、毎月新メニューを考える。常に新しいスタンダードを追求する。革命は止まらない。
西荻窪OAK

【西荻窪OAK】
最初に営んだ喫茶店。
学生が多かった当時、人が来ては卒業と同時に去り、それを何年も繰り返し、まるで故郷のように愛された伝説のお店。今でも「マスター」を偲び、数十年の月日を経て当時の仲間が集まることも。マスターの人柄がうかがえる。
(写真提供:株式会社スパイスロード)
今バンコクに行くと本当に元気がある。日本より全然活気がある

涌井:タイに対する熱はまだまだ続くものだと思うんです。ここのところ3ヵ月続けてタイに行ってるんですが、そうすると凄く感じることは、日本のビジネスマンが凄い勢いで増えている、ということ。

タイスト:最近は以前にも増して、大手の車会社なんかもさらに進出している印象ですよね。

涌井:最近はタイ語を使うビジネスマンを見る機会も本当に多くなりましたよね。20年前に比べたらものすごい変化です。
20年ほど前は女性の観光客が多かったじゃない?それが今ではスーツのビジネスマンが目立ちますよね。しかもかなり大手企業の進出が目立ちますしね。それに伴って、バンコクの日本食ブームも凄いですよね。ここ2~3年くらい前から凄い。

タイスト:日本では、アジア料理が外食の選択肢として一般的になってきましたが、タイでも外食の選択肢として日本食が一般的になる日も近そうですね。

涌井:そうなるでしょうね。タイの方は日本食に対して非常にヘルシーであるという認識がありますし、中流階級の方々も増えてきてますからね、そういった方々がちょっと高くてもどんどん消費するようになってますからね。
だから、今バンコクに行くと本当に元気があると感じます。日本より全然活気があると感じますね。

アジアの中では日本のほうが特殊

タイスト:社長の考えるタイの魅力を教えてください。

涌井:例えば今持ってるパスポートを見ると、もう50回くらいはタイに行ってるわけですが、行くたびに僕にとっては気持ちがとても和む場所です。
   
タイの現地にいるスタッフと触れ合ってみても、やっぱりタイの方は非常に年長者に対する敬意とか礼節などをわきまえています。また、僕が街を歩いていてすごくいいなぁと思うのは、彼らの神様に対する思いというところですね。街の中で仏像などがあると、誰もが自然と手を合わせて立ち止まって行く。あとは朝晩街の中に国歌が流れる時は立ち止まって聞いている人も多いし、ああいうところがすごく魅力的というか、僕はホッとします。日本人がかつて持っていたものなんだけど、そういったところがタイにはあるから素晴らしいなと思いますね。

また、日本人に対して、変な見方をしていないですよね。真っ直ぐ見てくれるし、尊敬の思いすら抱いてくれますよね。

涌井:タイにいると、日本の常識では考えられないことももちろんあるんですが、逆に考えると他のアジアの国に比べたら、日本が特殊なんですよ。特にタイは、物事を斜めから見ない、真っ直ぐな国民性がとても気持ちが良いですよね。そんなところが私が思うタイの魅力でしょうか。

涌井征男
涌井征男

【いちずに一本道 いちずに一つ事】
静かな物腰の背に掲げられた、ぶれない心。
大事なのは適正利潤。赤字じゃ困りますが(笑)

タイスト:このインタビュー記事は、飲食店経営をこれから目指す方々も読んでいらっしゃるかと思います。ずばり飲食店を成功に導くコツはあるんでしょうか。

涌井:僕が最近思うのは、飲食店というのは企業として、大きくしたり上場してはいけない業種であると思うんです。というのも、利益を追い求めることで得する業種ではないからです。利益だけを追い求めると失敗を犯すんです。
また、会社が大きくなればなるほどワンパターンにはめられたマニュアル型の接客になっていくんです。でも飲食店というのは本来そうあるべきではない。飲食店の原点というのは本来オーナーシェフが心を込めて接客して、心を込めて料理を作ってお店をやっていくということです。
なので、飲食店を行う上で考えていかなくてはならないのは、基本的には適正な利潤を上げていくこと、これを考えることなんです。

ところが、上場して株主のために更なる利益を追求しなければならなくなると、コスト、コスト、となってしまい最終的には良くないものでも出さざるを得なくなる。
それが一番いけない路線だと思っています。

牛丼のチェーン店やファストフードはまた別ですが、もしタイ料理という所で言えば、一つ一つ心をこめて美味しいものをお出ししようという気持ちあってこそだと思います。

それから安全というところも本当に重要な点です。
安心して、美味しく心のこもった料理を提供し、お客様に喜んでいただくことが原点ですから、これを遂行した上で利益がついてくればいいという考え方が大切だと思います。

タイスト:今、食の安全が叫ばれる中で、涌井社長からこの言葉を聞くと本当に重い言葉に感じます。

涌井:また、歳をとると健康を考えた食事を提供したいとも思います。タイ料理にはハーブなど体にいい食材がたくさんありますからね。目が行き届かなくなる事は自分の本意ではないので、私が納得できる料理をどの店舗でも提供することを考えています。そう言った観点から言うと、チェーン化していくことも本当はあまり好きではないんです。ファミレス化していくタイ料理店というのはタイ料理の本当の魅力を失うと思っています。

タイスト:小さなカフェが原点にある涌井社長らしいお言葉ですね。

涌井:今、本当に嬉しいのはお客様の嬉しそうな笑顔です。これを見ると本当にやってて良かったなぁと思います。大事なのは適正利潤。赤字じゃ困りますが(笑)。
一杯のラーメンでも心を込めて作ったものと、心を込めずドボンとスープに麺を入れただけのものとでは全然味は違いますからね。

タイの子供たちに、日本に興味を持ってもらいたい

タイスト:今後のスパイスロードの事業展開の目標をお聞かせください。

涌井:タイ料理では売れ筋商品って決まってるんですよ。ガパオ、パッタイ、グリーンカレー。
先ほどの話とは少し相反することにもなるのですが、お店の事を考えれば、次のステップに行くためには、トムヤムラーメンを含めた上位の人気メニューに的を絞った複数店舗展開をしても面白いかなぁと考えてます。時期としてもそろそろいい頃だと思いますし。

また、タイに出会ったおかげで会社はここまで大きくなれたし、出来る限りタイの農村地区の子供たちに何らかの援助をしていきたいと思っています。
そして、その子供たちに、日本に興味を持ってもらいたい。というのはやはり僕は日本人だから、1人でも多くのタイの子供たちに日本を大好きになってもらいたいんです。
  
奨学金は今でもやってるけど、それとは別にね。子供たちと直接触れ合いながらやっていきたいですね。タイという国に、還元していきたい。

東京テーブル

【東京テーブル】 [クリックで拡大]
スクムビット・ソイ63(エカマイ通り)にある日本料理店は、一軒家で邸宅の雰囲気。
タイと日本を行き来しながら、双方の業界に確かな味と心を残している。
「いつまでも、本物を求めていきたい(涌井氏)」
涌井征男
基本を忠実に守りながらも、常に進化をしていく事、挑戦していく事

タイスト:最後に、スパイスロード系列店をご利用されていらっしゃるお客様に一言いただけますでしょうか。

涌井:いつまでも、本物を求めていきたいと思っています。そして、立ち止まらずどんどん進化をしていきたいと思っています。そうしなければ価値がないと思っていますので。
昔はニューヨークやL.Aにも展開を考えてましたが、もう年ですからねぇ・・・。

タイスト:いやいやいやいや。日本でそれができる会社は数少ないと思います。涌井社長に是非実現していただきたいです!

涌井:ありがとうございます。基本を忠実に守りながらも、常に進化をしていく事、挑戦していく事を忘れないで運営していきます。さらにタイ料理の魅力を世に広めていきたいと強く思っております。今後ともよろしくお願い致します。

タイスト:本日はお忙しい中、貴重なお時間を頂戴し本当にありがとうございました。仕事を忘れ、感激しっぱなしでした。

涌井:こちらこそ、ありがとうございました。

涌井征男 涌井征男
株式会社スパイスロード代表。神奈川県出身。
高校卒業後、洋食屋の下働きなどを経て1972年に独立、東京・西荻窪で喫茶店「OAK」を開業。
その後エスニックレストラン「東洋食堂」を経営。タイ料理と出会い、平成4年12月、西早稲田に日本初トムヤムラーメンの第1号店「ティーヌン」をオープンし、これが大ブレイク。「株式会社スパイスロード」を設立し、エスニックフード業界を牽引する企業に。
タイ、インド料理、ベトナム料理などエスニックに特化したレストランを幅広く展開。タイ本国への進出も果たしている。

■株式会社スパイスロード http://spiceroad.co.jp/
■TINUN http://tinun.jp/

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